経営からの地域再生・都市再生(過去ログ版)

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地域商店街活性化法案とは (No.766)

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本日読売新聞にて取り上げられていた「地域商店街活性化法案」ですが、これは今年度中小企業庁にて検討していたものです。

■商店街再生に新手法 イベント、託児所に助成…経産省

商店街活性化分野に明るい方は分かるように、少し読売新聞は見出しを間違えています。新手法ではなく、従来から支援していたものをより強化するという言い方の方が正しいでしょう。

まず従来の共同設備への投資に関しては、既に体力のある(自己負担ができる)商店街が限られてきており、中活認定地区で戦略補助金などで十分に対応可能という判断と言えます。既に高度化事業などの活用例も減少の一途で、複数年の負債を行ってでも投資していく事業は全国一律でやる必要は薄くなってきた背景もあります。

さらに今回のイベント、託児所などへの支援は従来からもソフト事業として支援を行ってきています。託児所などに関しては、厚生労働省との連携事業なども数年前から行っており、中企庁が空き店舗対策補助を、厚生労働省が託児所事業支援を併せて行うものです。私もNPO法人フローレンスの初期段階に検討したものですが、店舗型の託児所の運営モデルの厳しさ、厚生労働省補助をもらうことで顧客から受け取れる額も制約が生まれることなどから結局は活用しなかったことがあります。

高齢者への宅配サービスも90年代からFAX宅配、その後はインターネット受発注や電話配送などに関して様々な補助事業が行われてきています。
防犯対策に関しても自警団はじめとして、安全安心まちづくり活動については全国各地で既に取り組みが行われてきています。電動スクーター貸し出しなどもタウンネビリティ事業で、とてつもない金額が投入されたケースも過去にあります。

ということで、読売が報じるような新手法ではなく、これらの従来ソフト事業への補助率をあげるというのが、今回の制度の軸と言えます。

土地の譲渡の税制控除に関しては、従来から言われてきたものの新たなインセンティヴです。とはいえ、これだけ市況が低迷している昨今ですので、どこまでの促進策になるかは分かりません。
ただし、不動産市場低迷で昨年から商店街に限らず土地取引への税制優遇は自民党を中心として検討されているのは聞いていましたので、そういった論調も追い風になったのかもしれません。

どちらにしても、商店街活性化事業においてこれらソフト事業の課題は独自継続できる「収益力」をつけることができていない点です。個人的には補助率が1/2から2/3にあがったことによって、事業実施のハードルは下がることは評価できるものの、それによって一定の事業性を確保し、さらには独自継続できるだけの収益力を生み出せるか。ここをどう打開するか、が重要なテーマであると思います。

イベントでも、防犯でも、独自商品開発でもそうですが、これまで補助金がついている間だけはできたが、その後は継続できない、というビジネスモデルそのものに問題を抱える事業が多くあるわけです。これらの補助率をあげても、結局は自己負担が軽減されるだけで終わってしまう可能性があります。

つまり新手法を求めるとすれば、「儲かる共同事業」をいかに作るか、それに先行投資することではないかなと思います。何より商店街の本来機能は、「まちづくり」をやることではありません。商店街におけるまちづくりは、戦略アプローチで言われる「補助的サービス」の増強に当たります。つまり商店街の商品である、店舗や不動産ビルなどはそのままに、それらに付随する周辺サービスで魅力をあげようという形です。
本来はこのような周辺サービスに力を入れる前に各店舗の経営力増強に繋がるような事業、もしくはやる気のない店舗からやる気のある店舗への新陳代謝を促進するが求められていると思っています。王道をいく商店街活性化事業、儲かる個店、儲かる活発な不動産を作り上げることが、商店街活性化では重要であると思っています。が、なかなかそのあたりは明確に打ち出せないものです。

先日国交省が小売機能増強に対して個店支援を打ち出していますが、あのような既存店舗や既存不動産などの経営効率改善や投資に繋がる支援策を練っていく方策もあってよいように思います。
工業系中小企業政策であれば、新たな工作機械の導入などによって新規受注を狙うのと同じく、苦しい中も継続的に経営している飲食店の機材更新などで、新たな調理法を導入することで魅力アップや機械化による経営効率改善に繋がることが多くあります。熊本から始めている各種コスト契約効率の改善などの取り組みなども、確実に各店舗やビル経営にプラスの経済的インパクトを与えています。つまりこのように商店街の本業にヒットするような事業が重要であると思うのです。

これらはしっかりと補助なしでも、事業を通じて対価を得られるだけのメリットを生み出せる可能性があります。まちに必要な機能を果たすと共に、皆が金払ってでも使いたいと思えるサービスでなければならないわけです。ただなら使うけど、金払ってまでは使わない、しかし必要というものであるならば、補助金は永遠に出し続けて公共サービスとして責任をもって進める領域だと思います

一方でしっかりと商店街のビジネス支援も重要な領域であると思います。

今回読売が出しているのは、検討されてきた内容の一部に過ぎません。どうにか、これまでの商店街活性化とは異なり、王道の商店街への活性化事業促進を進めてもらえるようにして頂きたいなと思っています。

寄付税制拡充により生まれる、市街地事業の自主財源の可能性 (No.634)

自民党、民主党などから税制改革に関する様々な提案が出ています。

その中、寄付金控除制度の拡充は一つのトレンドとなってきています。ふるさと納税のようなことも始まりますが、個人が直接的に寄付を行うことで、従来の行政がお金を集めて再分配という税金とは異なるルートで公共事業が推進されるようになる市場規模も拡大することが予想されます。

■個人住民税、寄付金控除の対象拡大・政府方針
■寄付金税制を拡充、5千円超は税額控除に…政府・与党方針

この記事などによれば、大きく寄付税制が拡充される流れが生まれているようです。

寄付金税制が拡充されると、自らが必要であると思われる公共性の高い事業を推進する事業体に寄付をしていくことができます。特定非営利活動法人が日本で認められる前後から、米国などの寄付税制などを学んで導入しなければならないという意見はありましたが、ようやく日本のNPOも寄付金による収入を大きくのばせる可能性が出てきました。これまでは認定NPO法人に限定されるなどハードルが高すぎました。

さて、このように所得税を任意のNPOに寄付できるようになれば、日本においても中心市街地NPOを設立して、そこに寄付を中心市街地のステイクホルダーが行って自主財源で事業を推進してゆくことも可能になろうかと思います。
いくら衰退したとはいえ、何らかのカタチで所得税は支払っているわけで、それらの一部を中心市街地活性化のために寄付をすることは、中心市街地の関係者からすれば非常に合理的な仕組みかと思います。

また定期収入化が可能であり、合理性もある。これを機会に昨日書いたように商店街経営を見直して、しっかりとした組織が事業を推進する構造にできれば一番ベストです。

諸外国の市街地活性化事業でも寄付金を収入源としたり、税金の一部を定期収入化しているケースは一般的です。日本でも国や地方自治体に税金からの収入を求めるだけではなく、このように自主財源を税制改革などを睨んで構造的に作っていくことは有効です。

しかしあまりこのような動きに、商店街の方で気にされている方は非常に少ないです。中心市街地活性化事業として認定を受けることに躍起になりすぎてしまい、異なるアプローチなどへの関心が薄くなっているようにも感じます。

私は1年の1000億よりも100年続く1000万円の方が意味があると思っています。それは継続性がなければまちは変われない、また継続的にまちを見てくれる人(マネジャーなど)への安定性も保証できない、再開発はいずれは陳腐化する、まちの商業は継承されなければならない、などの考えです。だからこそ短期的な大規模投資に目を向けすぎるのではなく、中長期的な自主財源をいかに作れるか、をより真剣に取り組んでゆかなければ、中活法が完了した後にどうするのか。

このような税制改革は中心市街地が自ら資金を集めて、事業を推進する一つのアプローチとして活用可能なものだと思っています。

商店街加入条例の今。-フリーライド問題とインセンティヴ問題- (No.633)

商店街加入条例は、手放しに良しであると言えるのだろうか。

東京・世田谷区(H.16改正)での制定を皮切りにここ3年で全国的に増加している商店街加入条例。商店街組織への加入を求める条項を追加し、チェーンストアなどの加入を求めるものです。

以下の河北新報の社説でも書かれている内容は、決して東北地区だけに限らないもので全国的に一般的なものです。

■商店街加入条例/もうけ至上主義を超えて

商店街への加入促進条例の制定される背景には、商店街組織は決して商業主義的な側面だけでなく、社会的な側面があるという点に着目していることです。
街路灯・アーケード設置においては、建設費の一部は補助や優遇金利での融資が行われますが、自己負担分は商店街が負担しています。その場合に、一括して自己投資分を負担しきれないために、3代くらいにまたがった連帯保証を商店街振興組合理事などがとられる場合が一般的です。また定期的メンテナンスのために基金を積み立てるなどで継続的に費用がかかる事業です。カラー舗装事業なども同類で、公共事業などで道路で掘り返された際には商店街が負担して現状復帰を求めないと、アスファルトでの舗装に埋め帰られてしまうなどの苦しい環境があります。このあたりは、中心市街地の商業全体の公共的設備という見方が可能なところかもしれません。

その他の清掃・防犯活動は費用というよりは、各商店の工数がとれる労働力の側面ですね。(犯罪などが深刻な地域であれば、民間セキュリティ会社への委託などで予算がかかるところもあるかと思いますが、一般的には地元警察との安全安心まちづくり活動レベルで対応されているかと思います)
また、にぎわい創出のイベントは、一般的に各商店合同のマーケティング活動として見られるので少々性質は異なると思います。

ただこれら共通なのは、商店街に入っていても、入っていなくともこれらの事業の恩恵にはあずかれるということです。まじめに支払っている者が割を食ってしまう、ということですね。これがフリーライド問題かと思います。

そもそもフリーライド構造が拡大したのは、不動産所有者とテナント業が分離し始めた時期が重なっていると思います。
従来は、不動産を持ちながら自らの店を経営していた方々が、ビルに建て替えて不動産業を中心に営むようになった際に、新規テナントに商店街加入を促進するような努力をあまり初期には行わなかったことが上げられます。商店街への加入促進は商店街組織にはインセンティヴがあっても、不動産所有者には義理こそあっても義務もインセンティヴもありません。不動産業に転身したのをキッカケに商店街活動に参加しないことも多いです。

また厳しい経済環境下でテナントとして地元創業者ではなく、チェーンストア形式の店舗を多く誘致することとなり、彼らのビジネスモデルには商店街事業の負担金は元々入れられていません。そのため、当然ながら加入することは本社扱いなどになり、対応が不可能な場合が多いわけです。
彼らのロジックも分からないわけではありません。商店街事業は各商店街が任意に進めている内容で、その意志決定プロセスが不明瞭であることは否めません。このブログでも再三にわたって指摘していますが、商店街事業にはまともなアニュアルレポートも、事業月報もない場合が一般的です。そのような状況で、一般的な企業がコストとして定期的に支払いを行える(様々なステイクホルダーに説明が可能な)だけの根拠があるか、と言われると甚だ疑問になります。年間で会費と各種ファシリティー(アーケード等)の積立金を支払えば相当の額となり、ビジネスモデルにクリティカルに響いてきます。また彼らのビジネスサイトは、商店街の事業者たちのように子、孫という長期的なものではなく、短期・中期程度のサイト(時間軸での長さ)でしか考えられていません。このあたりにも商店街組織経営のインセンティヴとのミスマッチングが存在します。

先の社説では、「もうけ至上主義を超えて」という副題がありますが、個人的には賛同しかねます。
基本的に商店街の既存事業者も、特段不特定のまちの為だけに取り組んでいるわけではなく(スローガンはありますが)、自分たちの店、自分たちの不動産価値の維持のために取り組んでいます。そして中期的なサイトで投資をするには、彼らは自分たちの事業や資産を子や孫に引き継いでいこうと考えています。だからこそ、このような大規模投資をして孫までの連帯保証が理事につきまとうようなことでも推進することがあるのです。

また比較的商店街がずさんな管理体制でも、自分の店であればステイクホルダーもシンプルで自分次第で意志決定が可能なため、昔からのつきあいで支払いは続けられます。ただそれも最近では事業が傾き始めて滞る場合が多くあります。単にチェーンストア以外の地元資本の新規ビジネスも加入しても、そのリターンが不明瞭でしかも意志決定に参加できない(年功序列方式のヒエラルキー)ということで、参加しない場合も多く見られます。

もうけ主義は商店街の旧来からの店舗も、チェーンストアも、新規創業店も一緒です。ただこれら商店街に複雑に入り込む各事業者たちのインセンティヴ構造には違いがあるわけです。チェーンストアは数多くの投資家などからの圧力や投資回収サイトの短さなどがあり、新規創業店は既存事業者たちとの温度差とリターン、関与できる余地の少なさなどに不満を持っています。

商店街加入促進条例が、既存事業者の保身のために利用されるのではなく、より未来に向けて市街地が発展し、そこで事業を営む人々それぞれのインセンティヴになるような仕組みとしていくことが必要です。そのためには、先のようなフリーライド問題を抱えていることだけに目を向けるのではなく、「なぜ加入しないのか」という構造的な問題の根源を捉えて、それを解決しなければなりません。
そのためには商店街組織経営のあり方が問われているわけです。寄り合い組織的ではなく、また各個人事業者が組織的活動しないことを前提とするのではないあり方を定義づけるべきです。より商店街組織のステイクホルダーをよりカテゴリ別で区分して相互の投資・リターン・サイト、情報公開やガバナンスのあり方などをしっかりと考える必要があります。加入範囲の設定のロジックも必要で、単に先の大規模投資のリターンはメインストリートだけでなく、路地などの範囲にまで及んでいるはずで負担構造も検討する必要が本当は存在しています。

しかしながら実際現場レベルではこのような組織構造に既存の商店街を変革するのは非常に難しいものと思います。おそらくは既存の商店街組織ではこのような抜本的な変革は難しく、既存の商店街の理事クラスが既存の既得権構造をなげうって皆で新たな組織を立ち上げてマネジメント構造を実現できるか、ですね。。またもしかすると既存の商店街は発展的解消をして既得権を整理し直すのがベストです。

とはいえ、現状を見る限りはこれまでの方法のままフリーライドを規制するだけで、商店街経営そのものが抜本的に変わったことは見たことがありません。商店街加入促進条例も、チェーンストア・新規事業者に単に負担を強いるだけであれば、そのうちそのエリアさえ見放してしまうかもしれません。単に高コストだけのエリアであれば、より低コスト・高収益のエリアに移っていくだけです。
彼らは郊外ではなく中心市街地に出店してくれた新たな仲間のはずなのですから、より建設的な構造を提案することこそ必要ではないのか。それはしっかりとした経済構造の元に考えなくては成り立たないものであると私は考えます。
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